ニュークックチルとは?中核機器リヒートウォーマーがもたらすメリット

老人ホームや介護施設などの大量調理の現場は、常に時間、コスト、そして品質と安全という厳しい要求との戦いです。
従来の調理法では、これらの課題を根本的に解決するのは難しい、と感じている方も多いのではないでしょうか。

その全てを解決するのが、次世代の大量調理システム「ニュークックチル」です。
そして、その心臓部とも言える重要な役割を担うのが「リヒートウォーマー」という専用機器です。

この記事では、「ニュークックチルとは何か?」という基本から、その中核をなすリヒートウォーマーの機能、そして導入によってもたらされる圧倒的なメリットまで、詳しく解説します。
設の未来を拓く、厨房改革の全貌をご覧ください。

その調理法、古くない?大量調理の常識を変える「ニュークックチル」の登場

ニュークックチルを理解するために、まずは大量調理における調理システムの変遷から見ていきましょう。

Step1:従来の調理法「クックサーブ」

多くの施設で今も主流なのが「クックサーブ」です。
これは、調理(Cook)して、すぐに提供(Serve)する、最もシンプルな方式です。

作りたてなので美味しいという反面、以下のデメリットを抱えています。

  • 食事提供時間に合わせて調理が集中するため、朝や昼のピークタイムが非常に忙しい。
  • 調理者のスキルや経験に、味や品質が大きく左右される。
  • 調理後から提供までの時間が長くかかると、食中毒菌が増殖しやすい温度帯に長く留まるリスクがある。

Step2:計画調理の始まり「クックチル」

クックサーブの課題を解決するために生まれたのが「クックチル」です。
これは、加熱調理(Cook)した食品を、30分以内に急速冷却(Chill)し、チルド状態で衛生的に保存。
提供前に再加熱して提供する方式です。

メリットとして以下の点があります。

  • 時間のある時に計画的に調理・保存できるため、ピーク時の作業負荷を分散できる(業務の平準化)。
  • 理から提供までの工程を分離できる。

Step3:最先端の調理システム「ニュークックチル」

そして、「クックチル」をさらに進化させ、より合理的で高品質な食事提供を可能にしたのが『ニュークックチル』です。

加熱調理し、急速冷却するまではクックチルと同じです。最大の違いは「再加熱のタイミングと場所」にあります。

・クックチルの場合
厨房で大鍋のまま再加熱し、盛り付けてから配膳。

・ニュークックチル場合
チルド状態の料理を、提供する場所で、一人前ずつ食器に盛り付けた状態で再加熱する。

この「提供直前に」「盛り付けた状態で」再加熱するという点が、ニュークックチルの革命的なポイントです。
そして、この重要な工程を担うのが、次に解説する「リヒートウォーマー」なのです。

ニュークックチルの心臓部!「リヒートウォーマー」の正体とは?

ニュークックチルシステムを成功させるための鍵、それが「リヒートウォーマー」です。
これは単なる「食事を温める機械」ではありません。ニュークックチルのために開発された、再加熱に特化したプロフェッショナル機器です。

リヒートウォーマーの仕組みと特徴

リヒートウォーマーは、チルド状態(約3℃)まで冷やされた料理が盛り付けられた食器を、カートごと庫内に入れ、食事の提供時間に合わせてタイマーで再加熱します。

その最大の特徴は、過熱水蒸気や熱風を庫内に循環させることで

  • 芯までムラなく加熱:料理の中心温度を、HACCPの基準である75℃以上(1分)まで確実に引き上げます。
  • 乾燥を防ぎ、しっとり仕上げる:適度な蒸気が、料理のパサつきを防ぎ、焼き物や煮物もジューシーで美味しい状態に復元します。
  • 大量の食器を一度に再加熱:数十食分を一度に、均一な品質で温めることができます。

電子レンジのように温めムラができたり、スチームコンベクションオーブンのように乾燥しすぎたりすることなく、「料理が最も美味しい状態」を再現することに特化しているのです。

【徹底比較】リヒートウォーマー、何が違うの?

キャプチャ

このように、リヒートウォーマーは「保温」でも「調理」でもなく、「高品質な再加熱」というニュークックチルに不可欠な役割を担う、唯一無二の存在なのです。

導入メリットを徹底解剖!ニュークックチルがもたらす革命

ニュークックチルシステムとリヒートウォーマーを導入することで、厨房運営。そして、施設経営そのものが劇的に変わります。
ここでは、その代表的なメリットを解説します。

早朝・残業からの解放

調理作業を厨房で日中のうちに計画的に行い、チルド保存しておくことができます。
食事提供の時間に合わせて行っていた調理作業がなくなるため、ピークタイムの労働負荷が激減。
これまで当たり前だった早朝出勤や残業をなくし、スタッフ全員が日中勤務する体制を築くことが可能になります。
これは、スタッフの定着率向上と、新たな人材確保において絶大な効果を発揮します。

いつでも、誰でも、プロの味

調理方法、味付け、再加熱の温度・時間がすべてマニュアル化・システム化されます。そのため、調理スタッフの経験やスキルに依存することなく、常に安定した高品質な食事を提供できます。
リヒートウォーマーによる最適な再加熱で、料理は最も温かく美味しい状態で利用者様の元へ届けられ、食事満足度の向上に直結します。

【衛生管理の徹底】HACCPの理想形をシステムで実現

食中毒菌が最も増殖しやすい危険温度帯(10℃~60℃)を、「加熱調理」と「急速冷却」によって素早く通過させ、喫食直前まで3℃以下のチルド状態で保存します。
この一連の流れは、HACCPの考え方を最も理想的な形で実現したシステムと言えます。
人の勘や経験に頼るのではなく、システムとして食の安全を担保できるため、衛生管理レベルが飛躍的に向上します。

【コスト削減】人件費・食材ロス・光熱費をトリプルカット

  • 人件費の削減: 労働時間の短縮、早朝・残業手当の削減により、人件費を大幅に圧縮できます。
  • 光熱費の削減: ピーク時に集中していたエネルギー使用を日中に分散・平準化できるため、光熱費の削減にも繋がります。

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調理済み食材の活用でニュークックチル導入

先述したようにニュークックチルには様々なメリットがあります。
しかし、既存の厨房で導入をするには様々な設備投資が必要となります。
必要な設備としては以下の機械が必要です。

  • スチームコンベクションオーブン(加熱調理)
  • ブラストチラー/ショックフリーザー(急速冷却)
  • 真空包装機(衛生的保存)
  • チルド保管庫または急速凍結庫
  • リヒートウォーマー(再加熱)

これらの厨房機器を全て準備すると、数千万円の投資が必要となります。
大規模な法人であれば投資金額を回収できますが、多くの施設では費用対効果が望めないでしょう。

そこで導入するのが「リヒートウォーマー」と「調理済み食材」の選択肢です。

効果を最大化するパートナー「調理済み食材」

調理済み食材とは、セントラルキッチンなどで専門的に調理・加工され、チルドや冷凍の状態で納品される食材や料理のことです。
これをリヒートウォーマーと組み合わせることで、厨房業務はさらにシンプルになります。

調理作業を外部の専門業者で行い時間とコストが大幅に削減できます。
そして、納入された調理済み食材を盛付・再加熱することで、どの施設でもニュークックチルでの提供が可能となります。

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まとめ:厨房の未来への投資、それがニュークックチルです

ニュークックチルとリヒートウォーマー、そして調理済み食材は、単なる厨房機器や調理方法の名称ではありません。
それは、人手不足、コスト増、品質のばらつき、衛生管理といった、現代の大量調理が抱えるあらゆる課題を解決する「経営システム」そのものです。

スタッフがやりがいを持って、心身ともに健康に働ける環境。
入居者様・患者様が毎日「美味しいね」と笑顔になる食事。
そして、施設が将来にわたって安定し、持続可能な運営ができる経営基盤。

ニュークックチルシステムの導入は、これらすべてを実現するための、未来への最も賢明な投資と言えます。

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そう感じたら、まずは自施設の課題を確認し、出雲みらいフーズへお気軽にお問い合わせください。
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