【いまさら聞けない】『完調品』とは?介護施設の厨房を激変させる完全調理済み食材が、当たり前になりつつある理由
2025.08.20
「最近、介護業界で『完調品(かんちょうひん)』という言葉をよく耳にする…」
「なんとなく知ってはいるけれど、今さら『それ、何ですか?』とは聞きづらい…」
施設の運営に日々奮闘されている経営者様、施設長様、現場リーダーの皆様。このような経験はございませんか?
この記事は、そんな方のための「完調品」について詳しく説明します。
「完調品」とは「完全調理済み食材」の略称ですが、私たちが普段スーパーで目にする冷凍食品とは、似て非なるもの。
実は、日本の介護現場が抱える根深い課題を解決し、厨房運営の常識を覆すほどの力を持った、まさに”秘密兵器”なのです。
この記事を読み終える頃には、「いまさら聞けない」という不安は消え、自施設にとって完調品が有効な選択肢となり得るか、自信を持って判断できるようになるはずです。
そもそも「完調品(完全調理済み食材)」とは何か?
まず、基本の「き」から押さえましょう。
完調品とは、専門のセントラルキッチンなどで加熱や味付けといった調理工程をすべて完了させ、施設では湯煎や再加熱器などで加熱するだけで提供できる状態の食品を指します。
「それって、ただの冷凍食品じゃないの?」と思うかもしれませんが、そこには決定的な違いがあります。
このように、完調品は「高齢者施設の食事提供」という明確な目的のために、専門家が知恵を結集して開発したプロ仕様の食材なのです。
知っておきたい!完調品の主な種類
完調品は、製造方法によっていくつかの種類に分かれます。
代表的なものを知っておくと、メーカー選定の際に役立ちます。
クックチル
加熱調理した食品を、90分以内に3℃以下まで急速冷却し、チルド(冷蔵)状態で保存・配送するもの。
計画的に調理でき、厨房業務の平準化に貢献します。
クックフリーズ
加熱調理した食品を、急速凍結して冷凍状態で保存・配送するもの。
長期保存(数ヶ月〜1年)が可能で、在庫管理がしやすいのが特徴です。
現在、多くの完調品がこの方式を採用しています。
真空調理品
下処理した食材を調味液とともに真空パックし、そのまま低温で長時間加熱調理したもの。
食材の旨味や栄養を逃さず、非常に柔らかく仕上げられるため、高齢者向けの食事と非常に相性が良い調理法です。
なぜ今、介護施設で「完調品」の導入が流行するのか?3つの時代的背景
完調品の導入は、単なる一過性のブームではありません。
それは、現代の日本が抱える社会構造の変化と、介護業界が直面する避けられない課題が生んだ、必然の流れなのです。
【ヒトの問題】もう限界…慢性的な人手不足と人件費の高騰
これが最大の理由です。
調理師の絶望的な採用難
飲食業界全体で人手が不足する中、介護施設の厨房は採用競争で不利な立場に置かれがちです。
「求人を出しても全く応募がない」のが日常茶飯事となっています。
スタッフの高齢化と離職
現場を支えてきたベテランスタッフは次々と定年を迎え、過酷な労働環境から若手・中堅の離職も後を絶ちません。
高騰し続ける人件費
最低賃金の上昇に加え、数少ない調理師を確保するためには高い給与が必要となり、施設の経営を圧迫します。
この状況下で、「属人的なスキル(調理師の腕)に依存しない、誰でも回せる厨房」を構築する必要性が、経営層にとって待ったなしの課題となりました。
調理師不要のオペレーションを可能にする完調品は、まさにこのニーズに応える救世主だったのです。
おすすめ記事:賃上げ時代を乗り切る!老人ホーム厨房の救世主「調理済み食材」活用術|業務効率化とコスト削減を両立
【モノの問題】食の安全(HACCP)と品質安定への強い要求
2021年6月から、原則としてすべての食品等事業者にHACCP(ハサップ)に沿った衛生管理が完全義務化されました。
これは、食中毒のリスクを未然に防ぐための科学的な管理手法ですが、人手不足の現場でこれを徹底するのは大きな負担です。
HACCP対応の救世主
完調品を導入すると、厨房内での生食材の扱い(洗浄、カット、加熱調理)が激減します。
これにより、食中毒の主要因である交差汚染のリスクを大幅に低減でき、HACCPの管理項目もシンプルになります。
「いつもの味」という信頼
スタッフのスキルや体調によって味が変わる「味のブレ」は、入居者の満足度を左右する大きな要因です。
工場で一元的に製造される完調品は、誰が、いつ作っても、常に安定した品質・味を提供できます。
これは、施設の食事サービスに対する信頼そのものを構築することに繋がります。
おすすめ記事:【人手不足解消】老人ホームのHACCP管理を調理済み食材で簡素化!安全と効率を両立する秘訣
【カネと時間の問題】コスト構造の変革とサービス向上への希求
賢明な経営者は、コストを「トータル」で捉えます。
トータルコストの削減
完調品の食材単価は、生の食材より割高に見えるかもしれません。
しかし、人件費、水道光熱費、食材廃棄ロスといった全てのコストを合算すると、トータルでは安くなるケースがほとんどです。
特に、計画外の廃棄がほぼゼロになる点は、大きなメリットです。
時間という最も貴重な資源の創出
完調品の導入で最も大きく生まれるのが「時間」です。
下処理や調理に費やしていた膨大な時間を、施設はもっと価値のある業務に再投資できるようになります。
「調理業務から解放された栄養士が、入居者一人ひとりの栄養ケアにじっくり取り組む」
「厨房スタッフが、丁寧な盛り付けや食事介助、入居者とのコミュニケーションに時間をかける」
このように、創出された時間とお金を「本来やるべきケアの質の向上」に振り向ける。
この前向きで戦略的な発想が、完調品の導入を加速させているのです。
【メリット・デメリット】導入前に知っておきたい完調品の光と影
ここまで良い点を中心に解説してきましたが、物事には必ず光と影があります。
導入を成功させるためには、デメリットとその対策も正しく理解しておくことが不可欠です。
導入がもたらすメリット
省人化と人件費削減
調理師が不要になり、パート・アルバイト中心の運営が可能に。採用難と人件費高騰から解放されます。
業務効率化と時間創出
調理時間が激減。スタッフの残業が減り、心身の負担が軽減。ワークライフバランスも改善します。
品質・味の安定化
誰が担当しても、毎日ブレのない美味しい食事を提供でき、入居者満足度が向上します。
衛生レベルの向上
HACCP対応が容易になり、食中毒リスクが大幅に低減。施設の信頼を守ります。
コスト管理の明確化
食材ロスがほぼゼロに。一人当たりの食費が明確になり、計画的な予算執行が可能になります。
克服すべきデメリットと、その対策
「手作り感」の喪失感
入居者や家族、そしてスタッフ自身から「心のこもっていない食事」というネガティブなイメージを持たれる可能性があります。
対策
・盛り付けの工夫: 彩りの良い食器を選び、季節の葉を添えるだけでも印象は劇的に変わります。
・ハイブリッド方式の採用: 全てを完調品にするのではなく、ご飯や汁物、簡単な和え物など、手作りできるものを一品加える。
・メリハリをつける: クリスマスやお正月などの行事食は、スタッフが腕によりをかけて手作りし、特別な体験を提供する。
スタッフの心理的抵抗
「自分たちの仕事が奪われる」「楽をしていると思われる」といった、既存スタッフの不安や反発が起こる可能性があります。
対策
・丁寧な目的共有: 「これは手抜きではなく、皆の負担を減らし、もっと入居者様に向き合う時間を作るための改革だ」というポジティブなメッセ ージを伝え続ける。
・全員参加の試食会: スタッフ自身が完調品の美味しさや品質の高さを実感する機会を作る。
失敗しない!完調品メーカーの選び方と導入のステップ
最後に、実践的な導入の進め方です。
成功を左右する!メーカー選び「5つのチェックリスト」
□ 介護施設向けの実績は豊富か?
施設の細かなニーズを理解している、経験豊富なメーカーを選びましょう。
□ 食形態のラインナップは十分か?
常食だけでなく、自施設の入居者に必要な刻み、極刻み、ミキサー、治療食などが揃っているかを確認します。
□ 管理栄養士によるサポート体制はあるか?
献立作成の相談や、栄養に関する質問に答えてくれる専門スタッフがいると心強いです。
□【最重要】試食で味と質を確かめられるか?
必ず試食をしてください。可能であれば、複数のメーカーのものを比較検討し、スタッフや入居者の意見も聞きましょう。
□ 安定供給できる物流網を持っているか?
欠品なく、指定通りに配送してくれる信頼できる物流体制があるかを確認します。
導入の「成功3ステップ」
現状分析と「スモールスタート」計画
まずは自施設の厨房のどこに一番時間がかかっているか、何が一番大変かを洗い出します。
そして「全てを一気に」ではなく、「負担の大きい主菜だけ」「人手が薄い朝食だけ」など、小さく始める計画を立てます。
メーカー選定と試食会の実施
上記のチェックリストを元に、いくつかのメーカーに問い合わせ、試食会を実施します。
導入と効果測定
計画に沿って導入を開始し、「残業時間がどれだけ減ったか」「食材ロスがどう変化したか」「入居者の反応はどうか」といった効果を測定し、次のステップ(導入範囲の拡大など)を検討します。
まとめ:完調品は「流行」から「標準装備」の時代へ
「いまさら聞けない」と感じていた「完調品」。
その正体は、人手不足、コスト高騰、高まる安全要求という、現代の介護施設が抱える課題を解決するために生まれた、プロ仕様の食事ソリューションでした。
その導入は、もはや単なる「流行り」ではありません。
それは、持続可能な施設運営を実現し、限りある資源をより質の高いケアサービスに集中させるための「必然の選択肢」であり、新しい施設の「標準装備」になりつつあります。
この記事が、あなたの「いまさら聞けない」を解消し、新しい厨房のカタチを考えるきっかけとなれば幸いです。
まずは気軽に、気になるメーカーに資料請求や試食の問い合わせをしてみてはいかがでしょうか。
その小さな一歩が、あなたの施設の未来を大きく変えるかもしれません。
完全調理済食材をご検討の施設様は、出雲みらいフーズへお気軽にお問い合わせください。